賃貸経営 ふるさと納税
平成22年度の税制改正において、
所得税の寄付金控除の適用下限額は、
改正前の5千円から2千円に引き下げられました。
一方、住民税(道府県民税+市町村民税)
においては、改正はありませんでした。
寄付金の取扱に関しては、
所得税では所得控除(政党等寄付金は除く)ですが、
住民税は税額控除です
(政党等寄付金の税額控除はありません)。
![]() |
« 2010年11月 | メイン | 2011年01月 »
平成22年度の税制改正において、
所得税の寄付金控除の適用下限額は、
改正前の5千円から2千円に引き下げられました。
一方、住民税(道府県民税+市町村民税)
においては、改正はありませんでした。
寄付金の取扱に関しては、
所得税では所得控除(政党等寄付金は除く)ですが、
住民税は税額控除です
(政党等寄付金の税額控除はありません)。
税額控除額は、通常、
{寄付金額の合計(総所得金額等の30%が限度)
-5千円}×10%です(基本控除額)。
寄付金額4万円であれば、
住民税の税額控除額は、
3,500 円「(4万円-5 千円)×10%」です。
ところが、寄付金がふるさと納税といった
地方公共団体の場合には、
上記控除額(基本控除額)に「特例控除額」が
加算されます。
この「特例控除額」とは、次の算式で求められます。
(寄付金額-5千円)×(90%-所得税の限界税率)
所得税の限界税率とは、所得税の税率です。
なお、特例控除額は、
住民税所得割額の10%が上限です。
例えば、給与収入700 万円で夫婦子2人、
ふるさと納税(寄付金)4万円のケース
(住民税所得割296,000円、所得税の限界税率10%)
で試算してみましょう。
①住民税の基本控除額
(4 万円-5 千円)×10%=3,500 円
②住民税の特例控除額
(4 万円-5千円)×(90%-10%)
35,000円×80%=28,000円
住民税所得割の10%は29,600円なので
28,000円は限度額の範囲内です。
計算の結果、税額控除額は31,500円(①+②)
となります。
全く同じ条件で同額の寄付金でも、
ふるさと納税など地方公共団体以外の寄付金で
あれば、負担率91.25%
(40,000 円-3,500円/40,000円)、
一方、寄付金がふるさと納税であれば負担率21.25%
(40,000 円-31,500/40,000円)です。
さらに、所得税(実効税率10%)を考慮すると
負担率11.75%と軽減されます。
ふるさと納税の寄付金の有利性が際立っています。
上限はありますが、この負担率は、所得とふるさと
納税の寄付が増えるにつれて軽減します。
年金保険への課税の現況はどうなっているか?
相続税法では、
年金は年金受給権として評価され、
相続財産として課税されます。
その後、年々の年金受給が始まると、
雑所得として所得税が課税されていました。
ただし、年金で受けとるのではなく、
一時金で受け取ることにした保険金については、
相続税がかかるだけで、
所得税はかからないことになっていました。
税理士も、なんとなくへんだ、と思いつつ、
所得税法の解釈について、国の言うことに流されて
いたところでしたが、長崎の相続未亡人とその関与税理士は、
国の言うことに納得せず、相続課税後の年金所得に所得税を
かけるのは二重課税であると主張して裁判に訴えました。
裁判の経過は次の通りでした。
平成18年11月7日 長崎地裁 勝訴
平成19年10月25日 福岡高裁 敗訴
平成22年 7月 6日 最高裁 勝訴
最高裁での二重課税禁止判決はニュースで
大きく取り上げられましたので、
ご存じのことと思います。
一時金なら非課税ということは通達に
書かれていたのですが、
その通達は、所得税法に、
「相続により取得するものには所得税を課さない」
という規定があったことに根拠を置いています。
でも、法律には、年金の場合は課税できる、
との規定はありませんでした。
国側の解釈は、
相続税と所得税の課税のタイミングが同時のもので、
いかにも二重課税が明白なものに限定しての
非課税規定、というものでした。
最高裁の判決後、
類似のケースには、過去5年分につき、更正手続により還付し、
もっと古い分については、立法的に手当てすることを検討する、
と財務大臣が即座に表明しています。
この素早い対応は、
判決への国税庁の真摯な姿勢のように見えますが、
穿った見方からすれば、判決の及ぼす税制への衝撃を、
年金問題だけに食い止めようとしている思惑にも思えます。
なぜなら、相続税と所得税との二重課税は、年金だけのところに
あるわけではないからです。
年金に相続税と所得税を二重課税するのは
所得税法違反、と国側敗訴にする最高裁判決が
7月6日に下されました。
相続による財産の取得は、
所得税法における「所得」であるが、
課税は相続税法に委ねているので、
所得税法では非課税と定めています。
この非課税規定は、
税法の重要な原理規定なのですが、
その原理を再確認したのが今次の判決です。
相続税の課税対象には、所得税では課税されない
未実現の所得も取り込まれます。
将来取得年金の予定額が課税対象となったのはそのためです。
類似のものとしては、
①預貯金・貸付金の未収利息等
②3ケ月以内収穫予定の天然果実
③訴訟中の損害賠償金などの債権
④生命保険契約に関する権利
その他があります。
これらが、実現所得となったときには、
相続税での評価額部分を超える額だけが課税されるべきです。
源泉分離の利子課税などは、二重課税排除を確定申告による
源泉税の還付で行うとなると、そうできるようにするための
法改正が必要です。
さらに、もっと重要なことは、
相続取得財産については相続税で時価課税して、
また、その時価で所得税を二重課税するものが沢山あると
いうことです。
それは、不動産や株式などの譲渡性資産です。
相続財産を譲渡するときに、相続税課税済みの金額部分
に再度課税します。
明らかに二重課税です。
これらの法律規定は、この二重課税禁止判決を承けて、
見直されるべき事態に至ったと言うべきでしょう。
アメリカの相続税は遺産課税で贈与税は贈与者課税なので、
相続財産は死亡時に被相続人が相続人に
譲渡したような扱いになり、相続人が取得する相続財産に
付せられる取得価額は相続時の時価となり、
二重課税は排除されるようになっています。
民主党は政権政策で遺産課税を唱えていましたので、
近い将来に米国と同じ制度にするつもりなのか、
関心の湧くところです。
年金への所得税と相続税の二重課税を禁ずる
先月7月6日の納税者逆転勝訴最高裁判決
(長崎地裁は勝訴、福岡高裁は敗訴)
の内容は、勝訴していた長崎地裁の判決と少し異なります。
地裁は、年金への課税は相続税で済んでいるのだから、
所得税で再課税すべきではない、
としたのに対し、最高裁は、相続税の課税済み部分は
その後の所得税課税において重ねて課税してはならない、
です。
所得税法には元々退職遺族年金非課税の規定がありました。
今回の年金判決で争点だった「相続取得によるものは非課税」
との規定により、退職遺族年金以外の遺族の受け取る年金も、
非課税が確認されました。
それでは、元々の退職遺族年金非課税規定は特別に
法律規定がなくてもよかったことになったのでしょうか。
この疑問は、被告の国税サイドが反論として何度も主張
していたところでした。
相続税が課税される相続財産の価額と、
所得税が課税される所得の収入金額とには一時の一括課税か、
何回かの分割課税か、長期間経過後の課税か、という理由による
相違があります。
その相違からくる金額差の部分にのみ所得税は課し得る、
というのが、最高裁判決の独自内容です。
その独自内容によって、
先の、二つの年金非課税の疑問に答えたのです。
即ち、退職遺族年金は相続課税と無関係に非課税、
相続取得年金は相続課税部分のみ非課税、という理解です。
最高裁判決の独自内容の意義は、
相続税は一種の特別な所得税なのだから、
相続税の課税済み分部にその後の所得税課税が
重複してはならない、と言うことです。
年金について言えば、従来は、
過去に支払い済みの保険料(被相続人が支払ったものを含む)
を超過して受け取る年金部分が所得税の課税対象と理解されて
いました。
今度は、この支払原価超過分への課税の前に、
相続課税済部分を除外する、と大きく課税対象に変更を加えたのです。
そして、
この新たな考え方の影響は遺族年金への課税問題に
とどまらず、相続財産に関わるその後の所得税課税全体に
及ぶことになります。
事実婚の悲哀、多額な借金、音信不通の兄弟、
家業は今後どうするかなど様々な問題があります。
又、「相続税対策 と相続対策」を混同している人は
大勢います。
相続税を払わなければならない人はごく一握りです。
むしろ、大半は遺産の取り分などを巡る相続争いに時間と
労力がとられることがほとんどです。
だからこそ、親族間でもめない為に、
生前の相続対策を行うことが肝心なのです。
明日以後につづく